以下続刊。日本へ招聘されたイタリア人大学教授が出会った混血の美しい
姉弟。彼らの存在から記憶が触発され、
ファシズム時代の
ベネツィアと1960年代の異郷とが重なっていくというストーリー。作風は叙情性が高く、ユーモアはあるもののギャグ要素はないので、これまで知られた
ヤマザキマリとは別の一面が味わえる。とはいえ、異なる文化圏の違いを楽しみつつ、同時に重なり共通する感性を発見する歓びを素直に表現している点は、旧作と通底。作者のメインテーマなのかなと考えた。ところで風俗描写のなかで、特に面白かったのは
名曲喫茶。スピーカーに向かってシートが同一方向なんだね。