サブカル・スーパースター鬱伝

サブカル・スーパースター鬱伝

サブカル・スーパースター鬱伝

サブカルチャー。いまだによくジャンルとしての基準が分からない言葉ではある。が、そこに棲む人々の佇まいはなんとなく平均像としてほんわかと浮かぶ。自分にとってのサブカル有名人といえばアラフィフの世代。そしてこの本でもその年齢層のインタビューイが多いように思われる。"サブカルで名を挙げた者は、四十路のころに鬱に陥ることが多いのではないか"というテーマ設定のもと、11人の話を聞くという内容。中にはインタビューの後で亡くなった人(川勝正幸氏)もおり、とりわけあたりが柔らかく優しささえ漂うようなその語り口はひときわ印象に残った。症状をもっとも具体的に語っていたのはミュージシャンのECD氏。レコード会社の契約が切れたあとに見つけた職場で、鬱の無気力のためちょっとした挨拶が出なかったことで小さなトラブルが生まれたりという出来事も、聞き手の個性なのか軽い笑い話としても読める。そう、とにかく読みやすいのだ。題材からいってもっと足をひっぱられるように重苦しい気分に包まれてもおかしくないのだが、そこは人選の妙なのだろうか。気軽なようでいて、細かく目が配られている企画として成功しているように思える。サブカルが好きな人は読んで損はないです。