「坂道のアポロン」第4話『バットノットフォーミー』

これまでは動画や演出クオリティの高さに、ストーリー濃度が追いついていないために今ひとつ身を入れて視ていなかったのだが、今回語られた千太郎の身の上話からは、グッと興味を引き付けられた。そんな自分のお安い感性にはやや引け目を感じるものの(笑)、この作品の売りの一つはいわばベタともいえるオーソドックスな戦後の青春ドラマであるとも示されたようで、視聴姿勢の軸が固まった。そして、恋愛模様をより複雑にしてかつ熱量を高める後半のクリスマス・ライブシーン。主人公・薫のおたおたぶりに割と飽きていたところでもあるので、淳一の大人の魅力ぶりはいいアクセントになった。ここからがこのアニメの本番だ。恵まれない育ちゆえに、お嬢様生まれの百合香に憧れてしまう千太郎の幸せの行方が、個人的には一番の観賞ポイント。