トモちゃんはすごいブス

トモちゃんはすごいブス(1) (アクションコミックス)

トモちゃんはすごいブス(1) (アクションコミックス)

第1話限定でネット公開されていた事から偶然出会った作品。森下裕美もこういうプラスティカルな萌え絵を描くのかというのが第一印象。20歳前後の若い女性が視点主人公ならではの意図的な絵柄選択だとは思うが、オタク文化の日常への浸透もテーマの一つに入っているようなのでそこへのアイロニーも多少あるようにも感じる。ヒロインのチコは中学生以来なんとなくひきこもっていたという設定。急死した父親の葬儀を終えた後に突然あらわれた『トモちゃん』はなかなかお目にかかれないほどの「ブス」ながら今時まっとうすぎるほどの良識でもってチコを外の世界へと導くのであった… というストーリー。話が進むごとに出会う人々や経験するバイトの数が増えていき、たしかに社会に出たての頃ってそれぐらいの密度というか速度でもって自分が変わっていくのを感じたなあとやけに懐かしくもあった。社会風潮をわりとストレートに扱っているようでもあるけど、深刻になりすぎない展開はさらりと楽しめる。