- 作者: 堀尾省太
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/08/21
- メディア: コミック
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書店員が薦める『マンガ大賞』候補作に挙がっていたのがきっかけで手に取ったが、これが予想外に面白い。読んだ感触で似ているのは「寄生獣」だと思うが、コミカルさが数滴入ったコマが折々に挟まることでマイルドな口当たりになっているあたりに作家の個性が出ている。主人公格である一家の長女や祖父にくらべて軸がブレがちな父親や長兄の情況にそぐわない想像がぽっと描かれるタイミングが、ギャグとしても笑い出しそうにおかしいし、同時に緊迫感を適切な分量でほぐしてくれるのだ。
暴力組織を外部委託として契約するという宗教団体の在り方が淡々とリアルであり、その個々のメンバーの刻々として変わる状況へのリアクションの差も、不思議なほど人間味に満ちている。そう、リアルであるとは刻々と変化していく事だ。目の離せない漫画をひさしぶりに見つけた。