ハンターズ・ラン

ハンターズ・ラン (ハヤカワ文庫SF)

ハンターズ・ラン (ハヤカワ文庫SF)

冒険小説、ましてアウトロー主人公ものはほぼ食指が伸びない嗜好だけど、雑誌での有名人推薦や「氷と炎の歌」シリーズのマーティンも参加という合作ということで手に取った。結論。非常に面白い。ラテン系移民がほとんどの植民惑星で浅はかで衝動的な生活を送る主人公を突き放しすぎない視点で描写、設定を巧みに発展させることにより成長物語としながらもあまりにも浮世離れしすぎない程度に収める筆致の確かさ、異世界ジャングルの猥雑にして彩り豊かな描写力、異星人たちの心身を観察する表現の幅の広さ。どれを取っても過不足ないエンターテインメントになっている。日本ではほぼお目にかからない、複数作者による小説の合作の様子がうかがえる後書き部分も印象によく残った。