ここがウィネトカなら、きみはジュディ

ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)

ここがウィネトカなら、きみはジュディ 時間SF傑作選 (SFマガジン創刊50周年記念アンソロジー)

記念出版というだけあって非常に充実した内容のアンソロジーになっていて読みごたえが抜群。時間をモチーフにしたSFの評価が確定した旧作からごく最近の有名賞受賞作まで網羅されており、時空を超えたロマンス、タイムトラベル、時間ループといった三部(+エピローグ)構成といった企画意図も明快で良い。個人的にもっとも鮮烈な印象を残されたのはマック店内の描写が可笑しく、また時間とともに年齢差を越えるロマンスでもある「彼らの生涯の最愛の時」(ワトスン&クアリア)、ただただ時の流れへの切なさがつのる「去りにし日々の光」(ショウ)、独創的なアイデアで人生の儚さや理不尽を描いた「旅人の憩い」(マッスン)。既読分では、毎回違う角度の視点を持たされる「限りなき夏」(プリースト)の懐豊かな寓意性にまたも魅了された。