オラクル・ナイト

オラクル・ナイト

オラクル・ナイト

うーん、オースターの作品の中では消化不良気味の読後感。劇中小説が非常に気になる展開時点で途絶して語られなかったのもけっこう不満かもしれない。生業が結局のところよく分からない中国系移民や体調不良や息子の素行に悩む老小説家のキャラクターの実在感やマンハッタンの通りの空気など、素材そのものは生き生きとしているのに、どこか生煮え感というか全体の統一に欠けているように思う。