獣の奏者エリン#50(終)「獣の奏者」

エリンはリランを力で押さえつけるしかない獣として扱い、国の重要人物を救うことで職業人=成人となることができた。しかし物語の落としどころとしてはその通過儀礼だけでは足りないので、リランが自らの意思(エリンと同じく獣との意思疎通に潜在的なアドバンテージを持つらしきセィミヤの意図せぬ関与はほのめかされていたものの)により窮地のエリンを救い出す事で、エリンの心からの願いであった異種間交流の可能性は保たれ続け、さらに大枠のテーマでもある人と人の間の絆による社会改良の道もまた象徴的に示される事となった。うん、ここまではパーフェクト。でも贅沢を言うかもしれないけど、エピローグでは、大人数の前で奇跡を起こしたエリンの名が他国に知らしめられる近い将来を懸念しつつもエリンやカザルム連のこれからの学術研究に期待して、セィミヤが訓示をほどこすシーンを要とするべきだったと思うんだけど。…いいシリーズだったと評価してるし、ところどころ相当にテンションは上がったけど、構成的に惜しい作品でもあった。社会を描くことにどこか腰が引けていて、そのために個人をあぶりだすフォーカスがぼやけてしまった部分を感じた。とはいえ、昨今では貴重な大河アニメを一年間視られた事には感謝しています。