木でできた海

木でできた海 (創元推理文庫)

木でできた海 (創元推理文庫)

クレインズ・ヴュー三部作の最終章。キャロルの以前の作品群に比べると、都会でも田舎でもない住宅街という地味な舞台にふさわしく内容の方も二転三転具合は抑え目、人物たちの性格描写にしても地に足が着いた印象が強くなっている。…でもやっぱり後半になるとシャマラン映画並にブッとんだ話になってくるけどね! 今回は主人公であるかつては手に負えない悪ガキだった警察署長が、よく分からない理由によって過去と未来を行き来するというストーリー。謎の構造についてはシンプルに済ませておいて、テーマの主軸はそこで生まれた自分自身の人生への思索にあるというのは、ダークファンタジー作家にカテゴライズされるキャロルのメインストリームに自然と接近していってる近年の変化なのかも。