ハイランダー -ディレクターズカット版-('08米・日/監督:川尻善昭)

事前情報入れないまま観たけど、サムライテイストがところどころ入ってる諦念観からはアメコミの雰囲気が感じられる。テーマ的には、憎しみに突き動かされるままだった主人公がより大きな視点を得るまでという切り口。それが実に鮮やかで無駄なく構成されているのが川尻作品らしい美点でもあったけど、どこか物足りなさも感じる面もある。一番面白いのは序盤の水没した都会の廃墟をボートで下る無気力な顔付きの主人公がチンピラ愚連隊をばったばったとなぎ倒すまでで、ミステリアスな導入性と勧善懲悪カタルシスがすばらしい。〆に近づくほどに、ベタにきわめて接近した王道的展開で固まっていくのはあるいは仕方なかったかもしれないけど、それは敵役のキャラクターにアクが足りなかったようでもある気がする。ルックスのシルエットが主人公と似てるってのがまずね。あとラブシーンのこってりしながらもテンプレまんまな描写はアメリカ映画臭ぷんぷんでやや苦笑。ところで小栗旬の声優技量は「獣王星」の頃より上がってた。うつろな内面を持ったキャラがハマるって事だろうか。