バイトSM嬢と
霊媒師(本作での呼び名は「口寄屋(くちよせや)」)の二足わらじを履くヒロインの性格設定が鼻につかない程度にリアルというか、他のキャラにもいえることだけど(例外こそあれ)誰しもが過去や現在に拘泥を持ち複雑な多面性を持っているという描写部分の自然さがかなり印象が深い。単発エピソードの積み重ねを序盤として物語のクライマックスはとある
集団自殺計画へと雪崩れ込むわけだが、ヒロインと協力した刑事が
接触した大物政治家の言通り、それを阻止することにそこまでの意味があるのかどうなのか読んでいるこちらですら分からなくなり、そして… 『まるで 白昼夢を見ているようだったでしょうね』とは作中でのヒロインの言葉だが、読後感もまたそれに近いのだった。そしてその点が不完全であり欠点だとは感じてない私も、やはりデイドリーマーの一員なのだった。白昼夢時々悪夢。しかしそれもまた現実なのです。それにしても同時入水自殺の当事者たちの迷いに共鳴する一連の描写の見事だったこと。精神的なダイビングにおける自分自身を見失う危険性についてのこれだけ真に迫った見せ方はあまりない。ところで、この作品は私は
BS11で放映された
OVAから入りました。全4話で終わっており勿体無かった。むしろ実写ドラマ向きなんではないかと思うし、どこかの局で映像化企画が上がらないかなと待望します。