人類学と生物学と
民俗学と
社会学と神話学、
フェミニズムや
ホモセクシュアルを含む少数者への視点までぶちこんだ“神殺し”もの。最終巻こそ駆け足展開ながらこれにて大団円。ダンテの「
神曲」にも似た荘厳さすら感じられる終幕でした(わしダンテ読んだことないけど)。物質的な生死まで相対化するスケールの大きさは昨今のSF漫画においても異色だったように思います。魂の救済と和解とは何かという、
アニミズムの力強さがとても好ましかったし示唆を受けた。後半の
入れ子状となった敵対構図がわかりづらかった面もあるけど、最後のネタ明かしとして配置された『精霊』がどういった存在かさえ納得できれば自然と理解できるようにも思う。人はその内部抗争がどういう質であれ、本質的に永遠に種自体の拡張を指向する生き物なのかもしれない。それが魂の翼を象る材料。ところで作中一番に渋かったのは翼の民のトウヒ。異論とロリ判定は認めない。