先立って開催された
京都国立博物館での企画展に合わせての出版。巻末に付された直系子孫の弁の通りに、浮世絵師だけでなく
狩野派にも師事したマルチな画才を紹介するこの度の試みはまずもって紙数のボリュームに表れており、
暁斎といえば狂画という従来のイメージが打破される時機がやってきたかのような観が。下絵をみればはっきり分かるのだけど、とにかくデッサン力が凄い。親交のあった当時の外国人画家によれば、
暁斎は一度観察しただけで動きや骨格を正確に絵の上で再現できたそうで、いわば“絶対画感”を持っていた天才だったのだと思う。
春画(
円山応挙の既作を習練のために模写したらしいけど応挙と
春画って結びつかなかったなー)での絡みを描く際にさえ女体を骸骨から描き起こしているのには笑ってしまったけど、そういう細部を眺めていると自然に『画鬼』という称号が立ち上がってまいりまする。