わたしが子どもだったころ アニメ監督・富野由悠季

NHK-BSハイビジョンで11日の22:00〜22:45に放映済。構成の大部分は少年時代の回想をドラマ仕立てにしたもの。富野少年がロケット乗務員となった自身を夢想するという内容の描きおろしアニメパート(制作クレジットは坂本サク)も数分入っていた。軍需研究めいた事にも携わりつつ、結局は東京に戻らず小田原で理科教師となった父の趣味であった写真の現像を自宅の即席暗室で手伝うといった印象的な描写もあったものの、回想のクライマックス部は夏休み自由研究の「月世界旅行の方法」を選ばれて全校生徒の前で発表した場面。どうも、用いる薬品の分量など科学的な要素を取り入れつつも全体としては空想科学小説作品としてフィクショナルな印象を放っていたらしく、全校生徒は水を打ったように『どん引き』していた(客観的にはおそらくどう受け取っていいかわからなかっただけだとも思うけど)との事で、戦時中でもポマードで髪を七三に分けていたという逸話と合わせて、その頃から“我が道をいく”人だったのだなあと妙に感心。その時の資料の他にも小松崎茂に傾倒して描きためた模写ペン画など、テレビコンテンツならではの豊富な蔵出し逸品を多く見ることができてなかなか凝ったところのある面白い番組になっていました。最後は流行りの手製ロケットを酒匂川の河川敷で同好協会の人の手助けで打ち上げて〆。科学指向で芸術家肌のマルチなアーティストなのだというわりと新鮮な印象が与えられました。(追記:どうやら日曜深夜のNHK総合で再放送枠がセットされてるようなので気になる方はチェックしてみてください。)