銀魂#61

紅桜編その4:オーラス。原作では静的なクライマックスである、桂が高杉を思い留めようとして「一番つらいはずの銀時が耐えている」と述べるシーンがもっとも印象的だったけど、アクション部分を補完していることで定評があるこのアニメ版では、銀時と桂が天人とまで手を組んでしまった高杉に対して一線を画する決意をしてわざと晴れ晴れと「次に会った時は」とそろって啖呵をきるカットとその後の息の合った立ち回り(もつれそうでもつれない足元の演出が特にいい)がベスト。それぞれの媒体の良さを引き出すことに成功している本作は、まちがいなく歴代ジャンプアニメ一の良作だと思う。鉄子と兄、似蔵やまた子たちといった何かに精魂傾けざるを得ない人々の悲哀と、自我の核よりも人と自分の間にある絆にこそ価値を見出す(ラーメンこぼして云々ってくだりはたぶんほんと)銀時の強さを相対させている渋さにもうならされました。高杉や似蔵は実際かわいそうでたまらんですよ。アドレナリンを放出させることで一時期のアイデンティティを固めてしまった人は、そこから別の生き方を選ぶことがとても難しくなる(ベトナム帰還兵問題みたいな)。だからこそ銀さんの“終わらない日常を生きる”スタイルが輝きを増すわけで。でも、いつか銀さんが再度自分の中の修羅と問答する展開があるべきだとも思ったり。