私のいた場所

私のいた場所

私のいた場所

ロシア人監督ノルシュテイン人形アニメ「話の話」で脚本を担当した女性作家のマジックリアリズム寄りの作品を集めた日本オリジナル短編集。厳しい経済や政治からくる荒廃した社会状況の淡々とした描写と、民話の素朴さを持つファンタジー要素との混在がざらっとした不思議な読み味を残す。親子関係にまつわる切々とした心情を、都市伝説調の怪談に乗せたいくつかの作品が特に印象が強い。

もうひとつの街

もうひとつの街

もうひとつの街

あまりに断章すぎる文体に感じて、自分の好みには合わなかった。訳文が「〜た」という終止形のセンテンスが多すぎるのもテンポに乗ることを削がれた要因。現代のプラハと鏡合わせの不条理な都市風景についての、考察部分は興味深く読めたのだが。