2018年1月に読んだ本まとめ

「沈黙」

沈黙(新潮文庫)

沈黙(新潮文庫)

映画版は実に原作に忠実に作られたのだなと理解できた。映画はキリスト教論、原作小説は日本人論にウエイトが置かれているように思う。
「ゲゲゲの娘日記」
ゲゲゲの娘日記 (怪BOOKS)

ゲゲゲの娘日記 (怪BOOKS)

次女の悦子さんからみた水木しげるの家庭での様子。一輪の花を活けて愛でる繊細な感性、テレビカメラが映した横に流れるロングショットの中でも誰より早く妻の姿を見分ける動態視力の高さなど身近に暮らした者でしか知らない姿が多々あった。そして臨終の日の哀しみ、静けさ。
「猫道」
私小説に近いマジックリアリズム作品を書きつづける笙野頼子の、数年ごとにやむを得なく行われてきた引越しの記録としての中短編アンソロジー。やがて野良猫との出会いにより彼女は定住の地である一軒家を購入するに至るわけだが、そこまでの境地の遍歴に独り身の女性の精神史を見る思いである。魂は浮遊しつつ、やがては安住の地を幻想の中で見出す。ここでの幻想とは物質の有無に拠らない。