プリティ・モンスターズ

プリティ・モンスターズ

プリティ・モンスターズ

子供や若者の心の動きをテーマに編まれた短編集で、既読のものも多かったが印象が新しくなるあたり、企画意図の明確さを感じる。ふんわりとしたファンタジーに寄って読んでいた作品が、現実を生きる若い心の不安さ、世界が開ける予感という生々しい心理の表象へと脱皮していく。家族小説からハイファンタジー、ジャンルをまたいで展開する実験作まで、より幅広くなったケリー・リンクの力量が実感できる一冊。それにしても「アバルの保安官」は魅惑的。童話に恋愛要素が入っていると気づいた時の幼少時のときめきを思い出した。