「シドニアの騎士 第九惑星戦役」(全12話)

日常描写が多くなったシーズンだが、対ガウナにおけえる死闘プロットも複数入っており、全体としては世界観を広がらせる役割を果たしていたラブコメ度の高さだったと思う。終盤で感じ入ったのは二つの描写で、一つ目は保養地のトラブル時にイザナに問われて長道が“誰を一番大切に思っているか”に答えたことをつむぎが言外しようとして途中でやめた(ここにつむぎ個人の心の成長まで込められているのが細心)こと。次に、長道が第九惑星獲得の功績で得た騎士勲章を祖父の元に預けてくるラストシーン。本当に肝心なことは物事の背後にあり、それは一見して分かりづらいが確かに人間を支えていること(これは任務放棄した偵察隊のメンバーの疑問への返答にもなっている)を押し付けがましさなしで示しており実に良い最終回を作り上げていた。CG技術も最終2話においてさらに進化していたように思う。汚れ役を自認しながら覚悟を秘めた小林艦長の羆山ララァへのまなざし、エナ星白にヘルメットを解かれる際の長道の顎のあたりの肉感性には手描きセルルックアニメに迫るものがあった。