「新世界より」第20話『冷たい日だまり』

早季は覚とはぐれつつも町にたどりつくわけだが、追っ手をふりきり生体トラップを寸時にかわす際に発揮される、早季の生来の特性である柔軟性のある思考力と瞬時に動ける実行力との言外の表現が視ていてスムーズだった。呪力単独の強度や技術では覚より劣るものの、ここで早季の優秀な面を見せておくことで後半での現・指導者である富子とのシーンが活きてくる。また爆風で宙に舞い上げられた際にフラッシュバックする『顔の無い少年』との別れの記憶が、実際に生きぬく力として早季の中で息づいていると知れる描写も淡々とした雰囲気ながらもそれがかえって感動した。三次元的なアクションの視点をカットの切り替えで細かくかえるアニメートも見応えがあり、今回も目が離せない出来だった。非常時の抑えた空気がしかしはちきれてしまいそうな緊迫感が実写映画のようにリアリティを持っている。