「アクエリオンEVOL」全26話視聴完了

シリアスとギャグが真剣に取り混ぜられたシリーズ前半は、作画ともども満足度が異様に高いレベルだったが、中盤からは失速気味。それでも最後の2話分はテンションを上げていっていたのは踏ん張りを見せてくれたとは思うが、男と女、陰と陽という二元論から提起する対立というテーマの昇華は駆け足すぎて物足りない。主人公アマタが怒りを自らの内に取り戻し、そもそもが自分の陰の面だったカグラといかに和解するかも、世界の危機に紛れてしまっていたのがその不満点の最たるもの。原因の一つとしては、群像劇としての色合いを意識しすぎたのがバランスを危うくしたのかとも思える。…とはいえ、ビジュアル全体の繊細な美麗さはあるいは本年度アニメでもトップクラスで、視ることができてよかったと思える作品であることに変わりはない。演技面では、サバサバとしながらも複雑な陰影の精神を持つ少女という難しい役所を演じきった、ゼシカ役の花澤香菜がひときわ印象的だった。