機動戦士ガンダムUC 第4話「重力の井戸の底で」

ところどころの描写がドラマ類型になってしまっているのはいささか気になった。プライベートな森の中を馬で駆け抜ける金髪青年…はまだしも、さりげなく保護者として見守ってきた少女を、優しく背後から抱きしめようとする中年男性のイメージ…にはさすがに苦笑。もう少し洗練させてほしかったなあ。メカアクションの方は相変わらずの「かゆいところに手が届く」サービス設計ぶりで、ガンダム名物である、地球の重力下を重層的な意味の演出で描く手際には十分に満足。それにしても第2話に続いてあらためて感じたのは、本作のドラマの胆はミネバ・サビの方にあるという事。保護監察下から脱走中のシーンにおける店主との会話、あれが自分にとっては今巻ならぬ本シリーズにおける最大の見所になったかもしれない。面識のあるシャアへの一般評価を聞かされたのは、内心つらかったろうなと人物の内面への想像が自然に引き出される好演出ぶりだった。ひるがえって主人公バナージサイドはというと、結末でリディが下した決断はこれまでのガンダムシリーズのスタンダード規格ならはバナージが展開の主格として為すべきものだったはずで、そのキャラクター配置のズラしがいかに今後に効くかは、いまだ判別しかねる。バナージはいまだに軍属になっていないというのも、そういえばイレギュラーな事か。