つり球

ノイタミナでは五作目ぐらいになろうかという中村健治監督の最新作。よくもまあこんなに演出の引き出しがあるものだと感心すると同時に、底流に一貫したオリジナリティはある気がするなと再確認しながら視た。主人公のテンパりやすいメンタル描写は「空中ブランコ」に似ているが、日本を舞台としながらファンタジックな再構築性が高い世界観は「化猫」や「怪」と通ずる。しかし今回の肝はズバリ、ライトBL風味の友情物語、だろう。あと無理のない美老婆もの。ともあれ、透明感のある美しい江ノ島風景とほんわかした空気で切実な思春期の悩みを包むドラマの展開に期待。そうそう、フライフィッシングの動作かっこよかったですね。釣りのスポーツ性がちゃんとアピールされてて。