これまで本人の口から語られてきた主人公カイトの生育環境にはどこかしっくりこないものがあったのだが、その違和感の源が一気に明かされる。それとともに、カイトがこれからの新たな具体的目標への覚悟を固めて、かつての親友であるルークに宣告するというターニング・ポイント回。突然入ってくる雑多な情報の中で、それでも自分自身にとっての真実を見つけ出して前向きに生きなければならないという、万人向けの処方箋にはない難題を作品の特色であるパズルというモチーフに載せることで教育番組色を薄めながらも、ジュブナイル・ジャンルとしての矜持を見せ付けた佳作回となった。カイトから両親の愛情を奪うつもりがかえって再確認させる羽目となった事実よりも、自分との差異に気づかされて愕然とするルークの表情が印象的に映るのは、彼が持つカイトへの妄執の内実に視聴者が気づくためのヒントが秘められているからだろう。
