「NO.6」全11話視聴完了

全編において駆け足感のある視聴となったのは企画中のいかなる要素のせいだろう? タイトルと同じ名前である街『NO.6』を襲うカタストロフの予兆の正体にしてもそう複雑な設定でもない。人間ドラマが最終的には紫苑とネズミの二人に集約されていく基本演出趣向もそれなりに固定されていた。それなのになぜここまで食いたりなさのある感触で終始する視聴体験となってしまったのか。突き詰めれば、紫苑とネズミという同性愛的カップルを描く動機のようなものの薄さが劇中に集中できない原因かもしれない。なぜ紫苑が嵐の日に出会ったネズミが少年ではなく少女ではドラマが成立しなかったのか。制作者たちにはそこをとことんツッコんでフィルムを作ってほしかった気がする。ただ、あまり自分の好みでないと感じつつも全話視聴できたのは、ところどころで求心力を持ったシーンがあったからだと思う。第6話のふたりだけの室内でダンスを踊る展開なんて、あまり不自然さも感じず佳かったと思う。