戦う司書#11「弱者と迷宮と女王の指し手」

モッカニア叛乱解決編。魔剣シュラムッフェンの絶対防御を盾としたハミュッツとの攻防戦はこれみよがしさはないものの、蟻の群れに襲わせるという地味さゆえにモッカニアの身のこなしがかえって際立っていた面もあったりして特色が出ていたように思う。無敵を誇るハミュッツもところどころでは苦戦の顔も見せていたりと丁々発止も楽しめた。しかしむしろ今回の肝は、彼女とくらべると心の弱さがむきだしな似た者同士でもある二人、ウインケニーとモッカニアの思考の流れを絡めて展開した点で、頻繁に切り替わるカットのタイミング合わせが視聴体感に気持ちよく感じられて、相当に物語世界に入り込むことが出来た。脚本、作画、演出、加えて声優の演技(特にモッカニア役の石田彰。心を病んではいても完全に狂っているわけではない人間の哀しみを演じきれる人はそうそういないかも)。四拍子揃った名エピソード。失ったものにこだわり続けて現在よりも過去にとらわれる弱き者にとって、自由とはもはや死に場所を選ぶ事にしかないのかもしれない。それでもそこに幸せがないかといえばそうでもなく、また彼らを追い詰める役回りになったハミュッツの幸福がどこにあるかといえば… それは次回の幕間でヒントが描かれるみたいで。