さよなら、愛しい人

さよなら、愛しい人

さよなら、愛しい人

もはや私立探偵のアイコンとなったフィリップ・マーロウシリーズの一つを村上春樹が新たに訳出。すばらしく読みやすく、それでいて香気が損なわれていない。この口当たりの良さは癖になりそう。プロットに特にひねりは見当たらず、日本小説でいえば金田一シリーズ並に黒幕の正体は明らか。このあたりは今読んでいる最中の同じく新訳版である「ロング・グッドバイ」の方が読み応えがある。…ただ情景描写に限ればこちらの方があるいは印象に残るシーンが多いかも。ストーリーがシンプルなためかな。