とろける鉄工所

とろける鉄工所(1) (イブニングKC)

とろける鉄工所(1) (イブニングKC)

現場仕事って習い始めの頃は恐ろしくてしょうがなかった事でも、慣れていったら実に平気になる(余談ながら自分はすっかり熱湯から引き出したての金属を運び出すのが平気になった。手の皮が厚くなったというよりやはり熱感覚細胞が鈍くなったのだろう)。しかしそれが間隙となって体に負担を貯めこまないかが心配なのよねー…といったような感触の鉄工職場漫画。ブルーカラーとしてのルサンチマンは、恋愛面では若い社員役のキャラ付けに用いられているけど、階層的なものや政治的なものはほぼまったく無い。ひやっとするような(そういうニアミスの言葉あったね。ヒヤッなんとか…)展開はあるものの、基本的にまったりおっとりとした日常描写が和ませてくれる。配給品の制服の傷みと洗濯シフトで頭を悩ませる新妻とか、いいよね。あと第二巻での北海道慰安旅行で石原裕次郎記念館のグッズを買いまくるおっさん組がほほえましかったり。にしても、すっかり鉄工所職員のイメージが漠然とした“工員”から“職人”へと底上げされてしまった。溶接技術の奥深さを物語る諸箇所がすばらしいですよ。