シャーマンキング完全版

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ファンを名乗りつつも、自分が武井宏之の漫画家としての底力を見くびっていたという事を素直に認められるというのは気持ちがいい体験だった。武井宏之の持つ特長はいくつもあるが、ストーリー構成面でもっとも重要なのはテーマとして仏教観が強くフィーチャーされている点であり、今回の新作完結部分において週刊少年誌連載という枷が外されたメリットがほぼ最大限に発揮されて、作者本来の持ち味が十全に出た結果となった。かつての読者にとって、読んで損はないまさにシリーズ『完全版』になっている。新作描きおろし話数が収録されている26巻と27巻(24巻にも挿入エピソードはあるけどさほど重要度は高くなかった印象)はズバリ“買い”です。それにしても最終対決の場において、主人公に「知ってんだろ オイラもあんまり人が好きじゃねえってこと」と言わせた当該のコマは、作品にとっても作者においても凄く重要だし、またこういった展開はおそらくジャンプで連載が続いていた場合にはたどり着けなかった終着点ではなかったかとも想像はできる。