屍姫 赫#12

「夜明け」:死という名の絶望を知った時、人は初めて夜よりも冥い夜明けがある事を知る。それぞれに掛け替えのない人を喪って立ち尽くす二人の後姿というカットの何たる重さ。その直前にあったマキナのほとんど自暴自棄な死闘といい、何ともいえない無常観があり、なるほど仏教テイストを活かしきったシリーズ最高潮でありました。お見事。瀬戸際の決断だったとはいえ、結果的に我を忘れたマキナに生命力の全てを取られそうだった旺里は景世に追い詰められたも同然だし、それを救った形の赤紗という皮肉な構図も、人は全員がそれぞれの妄執で動いているという仏教の戒めそのもの。年の終わりに良い作品を見せてもらえて非常に満足であります。