調停者の鈎爪(新しい太陽の書2)

調停者の鉤爪(新装版 新しい太陽の書2) (ハヤカワ文庫SF)

調停者の鉤爪(新装版 新しい太陽の書2) (ハヤカワ文庫SF)

憧れの反逆者との再会から、独裁者の宮殿への訪問、予言の魔女による幻視体験。ドラスティックな展開は第一巻より少なめで、主に世界観設定への理解をうながす働きの章といった趣き。神話世界の住人としか思えない巨大水棲女などはSFというよりかは荒唐無稽さしか正直感じられないのだけど(いや幻覚シーンだったのかもしれないけど)、凡庸な女を絶世の美女に変える超整形施術とか、死人の記憶やパーソナリティの一部を人肉食の形で自らの精神に取り込むための秘薬の仕組みといったちょっとした種明かしはなかなかにインパクト強し。進化がすすんだ科学は魔術と区別が付かず…そしてよりグロテスクとなる。他にもそれぞれギリシャ神話や聖書の一エピソードを星の歴史になぞらえたためにわけわかんなくなってるくだりとかはウヘェウルフ節ウヘェって感じで堪能っしまっしたっ…多分。きっと。それにしても白髪金髪少女ドルカスの可憐なこと。まさしく一服の清涼剤。そんな彼女を供にするセヴェリアンはというと出会う女ほぼすべてに惚れてる気がするが。