桃華月憚#25、#26(終)

趣向のふり幅の大きい本作を二話連続で観るのはつかれるよー
「〆(エックス)」:スタジオのセットとかカメラ切り替えまで「プロジェクトX」をパロってたのはさすがの変態スタッフさんたちだ!! なぜ司会役だとブルマなのかが分からない!じゃんけんで負けてたら春彦がブルマ穿いてたというのか?!! 春ちゃん好きな私でもそれは嫌だ。あと桃香に目隠し線入れてた意味も皆目不明。寧々はなんでいまさらメイドカフェで働いてるんだー… さて時系列も次元もぶっ越えた異色のオーラス直前回だったけど、すべては由美子(髪の色がやや本来のものに戻っていたような)の独白の前座のおちゃらかしにすぎないのかもと。あるがままを受け入れられるようになった由美子に最後に残されていたジュナとしての力、それが桃香と桃花の“再会”を形作ったのかもしれない。最後の、プロジェクト(ェエーーッックス)。
「華」:桃花の最後の台詞がまるで限られた尺の中で視聴者にテーマを伝えなければならない職に従じるアニメスタッフの言葉そのものに思えてならない。人にそれぞれ手渡された時間は短くはかない、けどそこにこそ人生の華の秘密がある… 「私には 時間が ありません」 終盤で集中して演出された桃花の自分自身の存在への不安は、青春時代の自我の揺れを象徴しているようで今ふりかえるととても印象的だったなあと。そして由美子が、ジュナとしてはセイを憎んでいるはずの彼女が、最初に桃花を受け入れた人であったというのにほのかに感動した。由美子もまた非常に重要なキャラだったのですね。彼女がしがらみから解放されてようやく物語は幕を下ろすことができたという、シリーズ構成上の要となっているわけで。
…さて、設定が相当に凝っていた作品ゆえにすべての伏線が回収されてなおかつストーリー上の不整合が出ていないかについては、現在の時点では頭の整理が付いていません。ただ、今クール中でもっとも世界観に耽溺したアニメだったのは確かだなと。これは不可思議世界を演出した山口祐司監督、刹那の刻を精一杯に生きる大切さをテーマとして練りこんだシリーズ構成担当の望月智充、そして全体の作画を相当に美麗なラインで保ち続けた総作画監督西田亜沙子。以上の三氏の連携が絶妙だったなと。なお個人的に特に好きな回は秋の夜の静けさが感じられるようだった「暦」。これは真琴と由美子の会話がさりげなくもかなり重要。あと夕焼けの砂浜で桃カップルが背中越しにお互いを肌で感じあう様が初々しくも官能的だった「海」も好きです。というかつまらなかった回ってもしかして全然なかったかもしれないなー