昨夜に見頃最盛期を迎えたオリオン座流星群を写真で捉えるために、適切な場所で6時間粘りやっと機会を得たという人の小話が朝刊コラムで出ており、家の前で10分ほど見上げてただけの自分が見れなくてもそりゃ当たり前なんだなと思った。
絶園のテンペスト
既に亡くなった美少女を軸に、無軌道に目的を追求する兄と、その友人であり彼女の秘密の恋人であった腹の内を他人に見せない少年とが成り行き上で世界の破滅をめぐる対立に巻き込まれる。たとえ親友同士でも心と情報の断絶があるという乾いた世界観(奇病でいきなり住人が全滅していく住み慣れた街を歩いていても主人公たちは眉ひとつ動かす様子がない)を、抑制された耽美な空気が覆う。魔法という不条理な力を行使できるもう一人のヒロインと、美と生命のはかなさを象徴する言葉数少ないヒロインという、主人公の2少年と同じ組み合わせの構図が繰り返されているのは、スタイリッシュなコンセプトを端的に示している。不完全なセカイで、一人ひとりでは何もできないという事実だけが今のところ確か。この初回におけるミステリアスな空気が、最終話で巧く飽和したのちに昇華されることを信じてみたくなる。