「機動戦士ガンダムAGE」第二部 アセム編終了

第一部のフリット編の時と同じほどに視聴者の主人公側への感情移入を許さない描写の連続に、これは確信犯行為としてのシリーズ構成なんだなと認識させられるクライマックス回。軍内で権力を掌握した後に政権転覆を成功させる父世代のフリットという身も蓋もない現実主義な展開も大概だが、より置いてけぼり気分を味わわされるのは息子であり現世代主人公のアセムが、父に素質や才能が及ばないと自覚するのはともかくとして、父の権威の手助けをして軍人の職務をまっとうしようという着地点の在り処。結局、学校を卒業した時点での境地となんら変わりのない人生観を主人公が見出した、というか再発見したという結果であり、アセムはつまりは父フリットと子キオの間のブリッジの存在でしかないと物語上で示す演出上の機能になってしまっている。第二部の大幹となるはずの敵の将ゼハートとの引き裂かれた友情の意味にしてもどうにも描写不足。生煮えな駆け足状態で和解の兆しのみが示されたままにテーマが第三部へと持ち越す格好となっており、もしもシリーズ結末へのハードルを自ら上げることで、あえて視聴者の興味をつなぐ姿勢なのだとしたら、実に果敢だとむしろ敬意すら感じるというアンバランスな視聴後感が鮮烈。世界のなにもかも、身近な人間関係すら情報を統合できずに今その瞬間を懸命に生きるのが人間個人の限界なのだと描く趣向を貫こうとしているのだとしたら、それはそれで確かにガンダムの銘にこたえようとしている経過なのだと、最終的には支持できるかもしれない。