「シドニアの騎士」全12話視聴完了

隔絶された環境に暮らしてきて、自分自身をよく知らない状態で世界(そこでも一種の閉鎖環境だったのは皮肉な話だが)に飛び出してきた主人公、長道にごく自然に好感を持てるシリーズ構成の仕事が鉄板並みに堅実だった。戦闘も旅程もまだまだ途中という終わり方ながら、第二期制作のアナウンスは早々にあったし、3DCGの出来を筆頭にとにかくスマートな作品。偏愛するタイプではないが、とても面白く毎週視ることができた。

「selector infected WIXOSS」全12話視聴完了

順当に盛り上がるドラマを見せる脚本、その意図を汲みながら存在感を発揮する演出という足並みの揃い具合は、視ていて胸が熱くなるような印象を受けた。少女たちの未熟さとそれにともうなうひたむきさとでくみ上げられた、トランプカードの城のような世界観。薄っぺらいかもしれないが、絶妙なバランスからくる緊迫感はやはり美しいものだ。完結編になるであろう第二期も楽しみ。なお、背景美術が今期もっとも目覚しかったのはこの作品だと思う。街の楽しさと寂しさ、コントラストの両極がそこにあった。

「ノブナガ・ザ・フール」全24話視聴完了

最初に一つ、心動かされた点を上げておくと、物語の狂言回しの役目をダ・ヴィンチから引き継いだ形のミツヒデが、まるで舞台のスポットライトを浴びる俳優のように朗々と自分の星回りを謳いあげる終盤のシーンは、独自の宿命論を真正面から取り上げていてなかなかドラスティックだった。が、そこまでいく道筋がもう軸がブレブレすぎて毎週視ているにも関わらずまったく理解が追いつかない。さらに致命的だったのは、主人公ノブナガがまったく主体的に動かず、またレスポンスにおいてもなんら突出した面を見せないためキャラクターがまるで立ってない。…タロットカードによる行く末の暗示という要素への興味だけで、視ていたといって過言でないシリーズだった。あと駄目押しするようだが、巨大ロボットものの醍醐味が不思議なほど感じられなかったため、いっそ生身で斬り合いした方が様になったんじゃないのとも思う。