最近読んだ漫画いろいろ その3

バクちゃん (全2巻)

宇宙港経由でバク星から東京へ叔父を頼りにやってきたバクちゃん。希望を浮かべて不安を手に地上へ降り立つギミックのレトロフューチャーにまずホンワカするが、住民に混じってしまえばそこで出会う無理解な視線や、理不尽な境遇はどうしたって避けられない。これはバク星人のこども、バクちゃんが見つめる街の点描ワンシーズン。拒絶や失敗は苦いけど、一歩踏み出さないことにはその場所を愛せるかどうかも分からない。だからバクちゃんは今度は誰かを手助けできる側になりたいと気付く。生きる場所を選べない人、行きたい所を目指す人どちらものために。ところでバクちゃんが下宿先を見つけたり、自治体主催のグループワークに参加したりする様子は、生活の手触りに満ちていてワクワクするのよ。


ゆりあ先生の赤い糸 (既刊8巻)

刺繍教室を営みながら、夫と義母の三人暮らしでそれなりに穏やかな幸せを感じていたゆりあに、夫が不倫の最中に脳卒中で倒れたという青天の霹靂が走る。しかし驚愕はさらに第二弾、第三弾と畳み掛けられていくのであった。真性サバサバ女子50歳のゆりあ先生を中心に突発的ニューファミリーが編成されていくという、少女漫画とレディースコミックと社会思考実験とがギザギザと領域侵犯しあうコメディ。儚げに揺れる心とふてぶてしいまでの生命力を持つキャラクターの掛け合いは、非常にドラマ化に向いているだろうなとも思う。家庭とは一つの規範しかないのか、女は閉経したかどうかで自意識が定まるのか。今度はゆりあ先生が進撃する番です。