2021年3月に読んだ本まとめ

闇のシャイニング

 スティーブン・キングに私淑する作家によるホラー短編アンソロジー。自意識が生み出す迷宮、現代を舞台に変えてよみがえるゴシックの恐怖。オチが意図不明な印象の作品が多くて、漱石や百閒の夢を取材にした掌編に似ているなと思う。キングが日本でも人気がある理由がつかめたかも。終わらない遊園地、他者の影に潜む自らの怯懦。そんな中、個性が隠せないほど立ちすぎてるクライヴ・パーカーの敬虔なる天使譚はラヴリーすぎた。神の醜く浅ましきいとし子たち。