2020年11月に観た映画まとめ

82年生まれ、キム・ジヨン ('19/監督:キム・ドヨン)

テレビドラマ調の味付けが多い。原作は主治医によるカウンセリングの聞き取り書の体裁を取ることで客観的に見えてくる、女性を見えない真綿で締め上げる社会の姿が鮮やかに浮かび上がったが、この映画版では主人公の感情に寄り添う演出が基調かなと。カフェでジヨンがオフィスワーカーたちに言い返す緊迫感は良かったと思った。

 

蒼穹のファフナー THE BEYOND 第三章 ('20/監督:能戸正隆)

ロボットアクション面でのサプライズもあり、これまでいくつものシリーズを積み重ねてきたゆえのジュブナイルドラマのストレートさに胸が熱くなる部分があるが、しかし全12話という短さゆえに、キャラクターの心情描写がこれまでと比べると少々荒い。予算の下りにくくなった時勢のやるせなさもあるのだった。

 

新しい街 ヴィル・ヌーヴ ('18 カナダ/監督:フェリックス・デュフール=ラベリエール)

ケベック州での独立住民投票の行方、そのifを夢想することで、あったかもしれない人生への哀調をモノクロのミニマルなアニメートで表現する。これは短編向きだなあというのが率直な感想。ただ、揺蕩うような夢見の時間を一時間強過ごすのも、まあ劇場の醍醐味だよね。