2020年2月に観た映画まとめ

私は光をにぎっている ('19/監督:中川龍太郎)

田舎から東京の下町に出てきた若い女性が、銭湯の手伝いをしながら居場所を手探りでつかもうとするシンプルな物語。猥雑で古びた昭和が色濃く残る路地の様子や埃っぽいがどこか落ち着く下宿の雰囲気がかなり自分好みだった。自分の意思の出し方がよく分かっていない主人公の少女が年上の女性にやんわり言葉を掛けられるシーン等、ああこういうモラトリアムあるよなあという感じだったが、同じく無器用なところがある銭湯の主が酒に逃げがちですぐに泥酔の醜態をさらすのにはもういっちょ捻りほしかったかなと思ったりも。ラストの〆め方は、変わりゆく街並みへの諦念と人の心のしなやかさとの落としどころを量っていて印象がふんわりと残る。