セブン・シスターズ('16 イギリス、アメリカ、フランス、ベルギー/監督:トミー・ウィルコラ)

多胎妊娠が深刻な社会問題となった近未来、厳密な"一人っ子政策"のさなかに生まれた七人姉妹。祖父によりそれぞれ曜日の名前を付けられた彼女らは、周囲の目をかいくぐりつつ七人で一人の人格を演じながら長じて、やり手のバンカーとして生計を立てていた。しかし一番の優等生的な性格だったマンデーがある日、帰宅しないまま彼女らに次の朝がやってきた…
ミステリとサスペンス、アクションに家族物語。複数の要素が盛り込まれているが、七人姉妹の住まいの生活感によってそれらが調和し統合されている。一人はみんなのために、みんなは一人のために。とても一人で七人分のパーソナリティを演じ分けているとは思えないノオミ・ラパスあってこその作品だった。誰かをうしなう時の哀切な演技がたまらなく心に響いてくる。…ただし、終盤になってご都合主義がやや目立ってくるのが残念。管理局の平構成員であるキャラクターがやたらめったら強いし、黒幕キャラへの演出はステレオタイプをもっと慎重に避けてほしかったと思う。前半から中盤は傑作。終盤は凡作になってしまったきらいがある。