「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース エジプト編」(全24話)

第一部、第二部とひとまとめにすると全6クール、放映一年半分の堂々たる大河ドラマとなったシリーズで、大満足。個人的には原作より好きなアニメライズ作品となった。80年代ジャンプ誌において意図的に色を薄められていた、女性や弱い者の視点を取り入れることでより間口が広くなり、結果としてギャグ面やバトルシーンを楽しめるつくりに仕上がっており、スタッフの原作への敬意とそれゆえにテレビシリーズにあたってのアレンジへの真剣ぶりがずっと持続していたことに最大限の好感と信頼を持ちながら飽きずに視聴していた。特に第三部は、ハラハラするサスペンスとクスクスとくるギャグとがロードムービーの上に乗っているというてんこ盛りぶりで毎週ほんとうに楽しみだった。ただ、最終話、祖父ジョセフと承太郎がDIO/ディオと一族の因縁をふりかえるシーンでは、第一部や第二部のフィルムを回想として引用するなどの演出の溜めがほしかったと思いそこだけが残念。とはいえ、理由は明らかにされないまでも自分の境遇や世の中の不満を抱いていたらしき承太郎が、仲間との旅の仲で何かを掴み納得した笑顔で機上の人となり母の下へ帰ろうとしている姿で幕が引かれる趣向は、ジョースター一族それぞれの青春の様子を描いてきたというシリーズ集大成といった風情で感じ入った。