劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス('14 フィンランド/監督:グザビエ・ピカルド)

オープニングアニメは原作のイメージ通りの描線タッチや色彩感覚が強い。そこから主な舞台である海辺のリゾート地へ移ることで、少しずつ太陽の色であるイエローが主調になっていき、そしてムーミン谷へ帰還するエピローグ部ではまたシックな色調に戻っていく。そこだけ見ても、原作シリーズへのリスペクトは十分に感じられた。少しだけ意外だったのは、最終的にはリゾート地での貨幣経済ムーミン一行が理解して呑み込む点で、原作により近づけるとすれば、あえて何食わぬ顔で一銭も払わずにホテルを後にした方がよかったかもと考えたりもしたが、それだとファミリー対象映画として後味がさっぱりしないという事もたしか。