「東京喰種」全12話視聴完了

原作のうちの区切りのいいところまで進むにしても尺が足りなさ過ぎる、ないしは切りのいいところがテーマ的に見つけることが難しいという1クールものによくある問題点を逆手に取ったかのように、最終話では主人公の内面の動きを描くことのみに構成されたという潔さ。仲間の様子や状況説明が入らないためにぶつ切り感は避けられないが、主題歌をBGMとした事や殺陣アニメートのダイナミクスで心理の流れを援護する演出の狙いは精確で、悪手になりそうなところをアクロバティックに回避していたのには感心してしまった。ヒトの形をした者が人を喰わなければ生きられない摂理のために生まれる敵意の連鎖というテーマの中で日常の穏やかさや仲間の繋がりを描いたアットホームさにはやけに和まされたり、娯楽作品として成立させるための細心さがシリーズを通して感じられる。倫理の終わりの見えない相対化を最後まで貫いた脚本も芯が通っていた。