「I アイ」全三巻完結

I【アイ】 3 (IKKI COMIX)

I【アイ】 3 (IKKI COMIX)

全編を通して、居心地の悪さを読んでいて感じる作品だった。誤解しないでほしいが露悪的に展開や描写が行われているわけではない。現実に存在する個々の生き様の幅が、あるがままをなるべく写し取ってキャラクター造りが成されているだけなのだ。それがなんともいえず現実味を産み、物語の先のみえなさに不安感を及ぼさせる。まるで、実際の「生」を生きているかのように。それにしてもこの作品の宗教観の自由さは見事で、俗を極めながらも需要が尽きることのない、まるで綱渡りのような宗教団体の運営ぶりはニュース報道を見ているようでもあり、さりとてこれまでのその紋切り型のヒールとしての扱いとも違っていた。神はいるし、いない。それが答えであり、答えにはなってない。「生」は分からないままだが、「何か」は感じることはできる。気持ちが悪く、爽快な傑作。