竜との舞踏 1

竜との舞踏 1 (氷と炎の歌 5)

竜との舞踏 1 (氷と炎の歌 5)

氷と炎の歌』第5部。三ヶ月連続で発刊される邦訳分冊のうちの第一弾。
物語における時間軸は前巻と並行する形に後戻りしているため(と何らかの理由-たとえばドラマ版協力からの多忙-による作者の筆の鈍りもあるように見受けた)に、読み始めの数章は文章に従来のテンポのよさが感じられなかったが、最重要人物の一人であるデナーリスが自分のドラゴンたちの脅威を認識してからは調子が戻っている。…ただ、第4部以後はそれまでの怒涛の王位争いの展開速度が下がり気味で、その流れをうけているこの第5部は、直線的な事象展開よりもこれまで書かれる機会がなかったキャラクター・プロフィールを補填する小話の割合が高いきらいがある。それはそれで楽しい(特にターガリエン家の夫婦二例を脇から見ていた騎士バリスタンの語り!)のだけど、完結の地平線が見えてこないのは愛読者としては気を揉まざるを得ない。とはいえ、再来月に出る巻では物語はふたたび大きく動いていくそうなので今後が楽しみなことに変わりはないけれど。