パッチワークのように組み合わされた二つの隣り合う都市。歴史上の経緯も、よってその企図も分からないままにそれぞれの住民は、お互いを見ないようにして暮らしている。そんな街で見つかった
若い女性の遺体。その背後には二つの都市への隠された妄念が淀んでいた… という筋。
ヒューゴー賞はじめ各賞で絶賛されたそうだが、これはファンタ
ジーではあるかもしれないがSFではないと自分は思う。独創的なア
イデアのミステリ小説ではあるが。なにより会話部分が冗長すぎたりして、あまり好みではなかった。…どうも、自作に寓意を見てほしくないと表明するタイプの作家は苦手なようだ。