ヴァージニア('11/監督・フランシス・コッポラ)

コッポラ作品は実をいうと「地獄の黙示録」以外を観た記憶がないんで、そんな自分がいうのも何なんだが… えらく低予算な台所事情を匂わせる仕上がりだなあと。主人公作家とその妻とがネット電話で会話するシーンの画面二分割には悪い意味で驚かされた。新境地を開拓しようと悩んでいるアル中の小説家が、サイン会のために赴いた片田舎でとある殺人事件の磁場に巻き込まれてゆくという粗筋なのだが、幻想と現実とのあわいの描き方、テーマとしての『作家の業』の浮き彫り具合がいまひとつぎこちない。シーンごとの印象はそれなりに強かった(古めかしい教会学校の場面全般と、少女が浮かび上がるクライマックス)ので、つまりは不遇な作品だったといえるのかもしれない。もうひとつふたつ、味付けが加えられていればあるいは。