現代イタリア幻想短篇集

現代イタリア幻想短篇集

現代イタリア幻想短篇集

カルヴィーノ以外はほとんど名前を記憶していない作家ばかりのアンソロジーだったが、作品それぞれの粒は揃っていたし扉に付けられた作者プロフィールも簡潔にまとまったもので理解の助けになった。既読のものはいくつかあった(アルピーノ「猿の女房」、パピーニ「返されなかった青春」、ディ・ランペドゥーサ「リゲーア」)ので、傑作集の定番ともいえる手堅いラインナップでもあるのだと思う。ディ・ランペドゥーサの貴族性の自然さは、しかし何度読んでも鮮烈。ユーモアの強度の高さではランドルフィ「ゴキブリの海」の奇想具合がすばらしかった。