時のない国 その他の国

時のない国その他の国 (1980年)

時のない国その他の国 (1980年)

今は亡き「奇想天外」誌に掲載されたファンタジー連作を軸とした構成。時間を超越した若い夫婦が主人公のホラ話と、通常の時の流れに沿って生きる人々を描いた三つの短編とが交互に読まれることにより、一つの別世界をのぞいた気分になる趣向は、昨今ではあまり見られない独自性のある編集に思える。初読したのははや四半世紀ほど前になるが、今も変わらず新鮮に楽しく読めた。なお、コスモポリタンぶりが洒落た語り口は村上春樹の文体にも似ているが、あるいはどちらかがその影響を受けたのだろうか。興味がすこしある。